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父と息子

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冬が来た                     高村光太郎(1883 〜 1956)

きっぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹(いてふ)の樹も箒になった

きりきりともみ込むやうな冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た

冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ

しみ通れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のやうな冬が来た
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高村光太郎作の木彫 「蝉」
(手のひらにすっぽり納まる) 
1924年 作 長7.2cm


「道程」で知られる高村光太郎は

彫刻家、詩人、美術評論家、翻訳家でもあるマルチな人

「光太郎」は「みつたろう」

と読むのが本来だそうだ
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光太郎の作品「石榴」
1924年 高6.0cm


光太郎のお父さんは

高村光雲(1852〜1934) という

日本最後の江戸職人で、

近代彫刻のさきがけとなった名人芸の人です
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高村光雲の代表作「老猿」
1893年 作 高90.9cm
(自宅で猿を飼いながらの制作だそうです)



父、光雲は伝統的な木彫作家

息子、光太郎は紡徨する詩人で近代彫刻家

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光雲の「團扇に眠る猫」
1895(明治28)年 高7cm



「息子には自由にさせているんです」

息子の芸術的彷徨を理解してしまうリベラリスト高村光雲

そのせいか

詩人の光太郎は熱烈になにかをやりたがっているが

彫刻家の光太郎は、もう既に何かがやれている

一貫してクールで淡々としていて、いい                                                                            <参考:芸術新潮..ひらがな日本美術史>
                
by harukob1 | 2010-12-01 21:00
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